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インタビュー2007-07-20

鉄道模型の現在、過去、未来-ポポンデッタ社長インタビュー (後編)

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■ 秋葉原移転で女性客も増加

-そういえば、最初は渋谷で営業されていたそうですが、どういった理由があって秋葉原に移転されたのですが?

Photo1太田「それはですね、まず1つ目の理由が渋谷出店時の立地がセンター街を通ってくるルートが一番の近道だったんですが、当時、ちょうどオヤジ狩りという言葉が流行り、それ絡みの事件が多かった時期と重なってしまい、お客様から『渋谷が怖い』と頻繁に言われたこと。2つ目が、秋葉原と鉄道模型の親和性を感じたためです。例えば、交通博物館があったことや、1つの街に複数鉄道模型店がある街が少なかった中、秋葉原にはあったことなど。その2つが大きな理由ですね。渋谷の時は本当にわかりづらい場所で営業していたんですが、それでも、お客様には来てもらえたので、『秋葉原だったら、裏手でも今より状況がいいのでは』ということで出店したんです。一時は並行して秋葉原と渋谷をやっていたんですが、お客様の利便性やマンパワー的なことを考え、秋葉原に集約させたという経緯があります」

-実際、秋葉原に移転されてお客様の反応とかはいかがですか?

「そうですね。『わかりやすくなった』『足を運びやすくなった』と、ほとんどのお客様に言われましたね。あとは店舗坪数を以前の5倍の35坪に増やしたので、品ぞろえを増やせましたし、念願のジオラマも設置でき、おおむね好評です」

-秋葉原ではその後、昨年10月にこちらの自社ビルをオープンされましたが、業績は好調ということでしょうか?

Photo1「ここは、信用金庫さんのおかげで建てられたようなものです(笑)。秋葉原出店当時は看板も出さず、木造2階建ての民家で、うちのお店だなんて誰もわからない状態で営業していたんですが、その建物が築50年で老朽化が進んで、耐震などの関係で『これは、ヤバいんじゃないかぁ』って思ったんです。でも今後も秋葉原で商売を続けたかったので、無理を承知で土地を借りていた中央無線さんに相談したところ折り合える値段が出て、信用金庫さんからも融資していただけることになって…といった感じで話が進みました。『ポポンデッタ』は、おかげさまで売り上げの伸びが年1.5倍ペースで上がっているのですが、当時はまだ、この秋葉原店で月商で500万円にようやく到達したという段階だったんです。このプロジェクトは2億2,000万円のプロジェクトなんですが、信用金庫さんに頭金なしで全額貸していただけまして、自社ビルを建てることができたというような感じです」

-すごいですね。ちなみに、通販の売り上げと店舗での売り上げの比率ってどれくらいなんですか?

「秋葉原店の話をしますと、現在、通信販売が15パーセントくらいで、実店舗の方が75パーセントくらいかな。具体的に言うと、実店舗の方が1,800万円~1,900万円の間を、通信販売が300万円~400万円の間を推移しているような感じです。通信販売からスタートした弊社ですが、残念ながら通販が伸びてないというのが現状です。この問題については、世界中を相手にできる商売なので、今後、もっとそこは頑張りたいと思います」

-なるほど。具体的にはどういったことを考えられていますか?

「今、取り扱いアイテム数が増えすぎてしまっている上に、中古って1点ものばかりなんです。掲載の手間をかけても、ウェブに出す前に店頭で売れてしまっているケースが多々あって、無駄な時間をかけてしまっているんです。それを改善しようと現在POSシステムを開発しています。これが完成すると、査定の段階で、PCに登録して、状態を表示した段階ですぐにネットに出せるようになるというメリットがあります。あとは、1つのアイテムに10人のお客様が購入を希望するというのが普通にある世界なので、ネットで売れればすぐ掲載が消えるようにし、売り逃がしや、お客様をがっかりさせない体制にしていこうと思っています。新品についても店頭でなくなってから在庫が切れたことに気付くのではなくて、在庫が減っているのがシステムでわかるようになるので、それを問屋さんも見られる状況にして、どんどん在庫を送ってもらうということをすれば、機会損失が減るんじゃないかと考えています。このようなかたちでシステムを導入していけば無駄な時間を省くことができるようになりますので、今いるメンバーでも売り上げを伸ばしていけるのではないかと思っています」

-お客様の新規開拓などについては、なにか工夫とかされていますか?

「そうですね。うちは外に看板を出してないので、『わかりづらい』と言われたりしますが、それでも伸びてこられたのはリピーターさんに支えられているからです。一度来店した方が面白いからと友達を連れてきてくれたり、メディアの秋葉原特集でテレビや雑誌で取り上げられ、新たなお客様が増えて、その方が定着してくれる。そういった好循環ではないかと思っています。渋谷に出店していたときは客層も99パーセントが男性客だったのですが、秋葉原に移転してジオラマを設置してからは、ご家族やパートナーを連れて来店される方も徐々に増えてきています」

-ちなみに、女性客の比率はどれくらいですか?

「20パーセントくらいが女性のお客様ですね。特に土日は比率が高く、お父さんではなくお母さんに連れられてくる子どもの姿なんかもよく見られますし、最近ではミニチュアに興味を持たれた女性単独のお客様も多いんです。面白い展開ですね」

-こうした展開になると想像できましたか?

「このような状況にしたくて店作りや展開を行なってきたので、それが実を結んだという感じですね。ただ、こんなにも急激なペースで、一般的に受け入れられてもらえるとは、正直想像していませんでした」

■ 鉄道模型の魅力は「皆で楽しめること」

-太田社長も魅かれる鉄道模型の魅力は、どこにあると思いますか?

「男は皆、メカニカルなものが好きなので、鉄道に魅かれることが多いと思うんですけど、それとは別に1つのものを中心に様々な側面から色んな楽しみができるというのが鉄道模型の魅力かなと思いますね。例えばラジコンって一人でやるものだから、家族で楽しむとなるとなかなか難しいんですが、鉄道模型って家族で楽しめるんですよ。もともとは私も、地元で慣れ親しんだ京王線の模型を1人で集めたりしたことから始めて、徐々に範囲を広げていったんですが、収集にはキリがないということに行き着いたんです。なので、今はレイアウトの景色作りに没頭しています(笑)。でも、こうしたら面白いかもって思いながら作品を作って、それが受け入れられてお客様が笑顔で喜んでくれる瞬間、それが一番嬉しいですね。ドイツでは個人の家のレイアウトがあるのが当たり前で、お母さんが景色を作って、お父さんが車両を改造したりして家族で楽しんでいらっしゃる方が多いんです。皆で楽しめるっているのが鉄道模型の魅力ではないかなと思っていますので、うちは、その点を特にアピールしていきたいですね。ポポンデッタの将来的なビジョンとして考えているのが、鉄道を中心に据えながらも、統一スケールのミニチュアを扱っているショップという立ち位置なんです。鉄道車両を売っているだけのお店はどこにでもあるので、うちの個性をはそこなのかなと思っています」

-広くて奥が深い鉄道模型の世界に初めて足を踏み入れる時、初心者はどこから手を付けたらよいでしょうか?

Photo1「そうですね。まず、信頼できるショップに予算・スペース・やりたいことなどを相談することが良いかと思います。Nゲージは商品数が多いからベストかというと、一概にそういうわけでもないんですよ。例えば高年齢層の方から細かく工作もしたいという相談を受けた場合にはスケールがもうちょっと大きいHOゲージをお勧めしたり…。そんな感じでいくらでもご相談にのれますので、気軽に聞いてもらえればと思います。逆にこちら側としては、今は量販店の方が価格も安いし、手軽に買えるのでそういった相談で生き残るしかないと思っています。うちは売ったら売りっぱなしっていうのが嫌なので、迷うごとに来店して聞いてもらえたらなと思います。鉄道模型ってお金がかかる趣味だというイメージがありますが、実はそうでもないんですよ。ジオラマで使用する材料なんかは、身近なものを工夫して代用することでいくらでもコストを抑えることが出来ますし…」

■ 「鉄道の地」秋葉原発~大きな夢実現行

-模型やホビーといえば、今の秋葉原だと、いわゆる美少女フィギュアだったり「萌え」といったものにスポットが当たっていますが、鉄道模型とフィギュアは趣味として近い部分を感じますか?

「実は、両ジャンル手をつけられているお客様が多く、その層をターゲットにした商品として『鉄道むすめ』や『バスガール』とかも出ていたりします。うちのお客様でも、『夏の鉄道イベントとコミケがぶつかって、どっちに行こう』と悩まれている話を聞いたりしますので、両ジャンルとも層はかぶっているかもしれませんね」

-これからも秋葉原で商売をしていきたいとおっしゃっていますが、何故ですか?

「この街と鉄道模型が馴染んでいるということが一番大きな理由です。秋葉原に出店後も、お客様がついてきてくれて、鉄道模型店も徐々に増えてきて、鉄道模型好きな人にとっては『鉄道模型の地』っていうイメージがついてきたと思います。そういったことで、この地で長くやっていきたいと思っているんです」

-「鉄道模型の地」―いい響きですね。ところで、今年は「パスモ導入」「仮面ライダー電王」「特急田中3号」の放送、N700系の登場など、「鉄道の年」との呼び声も高いですが、ポポンデッタさんでは「鉄道の年」という実感はありますか?

「うち自体に関して言えば、おかげさまでこれまで右肩上がりできているので、『鉄道の年』だから業績が伸びているのか、地道に伸びてきているのかの判断に迷いますが、世間で取り上げられることは多いですね。例えば、商業施設からイベント開催のお誘いを頂く機会も多くなりました。以前だと、『スペースかしてあげるからやれば』といった感じで、鉄道模型の集客力や商売として鉄道模型イベントを開催するということが理解されなかったんですが、今年に入って引き合いが強く、商売として認知されてきました。あとは、『鉄子の旅』の放送や企業による鉄道模型新規参入なんかのトピックスもありますしね。私たちはこの状況をチャンスととらえて、ブームに乗って終わるのでなく、ブームの中で鉄道模型に興味を持ってくれた人を奥までちゃんと連れていきたいと思っています。どうすればそれを実現できるかですね」

-最後に、太田社長の今後の夢を聞かせてください。

Photo1「2つの希望があります。一つは、ひと昔前は鉄道模型を身近に感じられる場所がデパートや商店などにあったのですが、今ではそうしたところが少なくなり、逆に量販が伸びてるのが現状です。でも、量販店だけに任せてしまわず、うちがかつての模型店の変わりになって、地方まで鉄道模型の走行や、ジオラマ作りなど全部を提供できる店を展開してみたいと思っています。もうひとつは、地方展開の後、300坪とかの広い土地にレイアウト施設を作ることが夢です。ドイツでは、鉄道模型と精巧なミニチュアが共存している延べ10億円くらい費やしたレイアウト施設あって、そこにはマニアだけでなく、家族連れも見に来ていていたりします。こんな施設を日本でやってみたいな…ただ、それに融資してくれる銀行があるかっている問題もあるんですけどね(笑)。だから、自前資金でやるには資金繰りが大変な出店の一区切りがついたら、余剰資金でそんなこともやってみたいですね」

【編集後記】
ソフトな印象と時より見せる少年のような笑顔が印象的だった太田社長。「鉄道の年」との呼び声が高い今年は、「ポポンデッタ」でもイベント出展や商業施設への進出と試金石となる年。いかにして鉄道模型の裾野を広げるかということに注力する太田社長の奮闘はまだまだ続く。アキバ経済新聞では今後も、同店の動向や太田社長の活躍に注目していきたい。

ポポンデッタ

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