プレスリリース

【福井県坂井市】新産業共創「繊維・ドローン」で2年目キックオフ

リリース発行企業:坂井市役所

情報提供:


2年目となる坂井市「新産業共創事業」キックオフイベントで、事業採択され、プレゼンテーションしたスタートアップなどの発表者たち(前列5名)。後列は坂井市の新開副市長(中央)、長谷川総合政策部長(右)、桶谷ReGACY Innovation Group取締役兼執行役員(左)

発表5名が「技術の強みや着眼点」をアピール
 全国の優れたスタートアップ・起業予定の研究者と地元企業をマッチングさせることで、地域に、新たな産業の集積を生み出す福井県坂井市の「新産業共創事業」が2年目を迎え、8月26日、坂井市春江中コミュニティセンターで、令和8(2026)年度のキックオフイベントが行われた。事業採択されたスタートアップ5事業者(3企業、2大学・高専)の発表者は、それぞれが挑む新事業の構想や将来プラン、自らの強みなどをプレゼンテーション、坂井市を拠点に取り組む実証事業への意気込みや将来像を語っていた。
 事業2年目となる本年度は、初年度と同じ「繊維」と「ドローン」の2分野をテーマに、スタートアップや研究者らを全国から募集。市が採択した5事業者は、地元企業や研究機関と連携し、自らが持つ研究成果や技術力を生かし、事業開発に取り組む。
 坂井市の新産業共創事業は、ベンチャーキャピタルの機能も持つコンサルタント「ReGACY Innovation Group(レガシー・イノベーション・グループ=本社・東京)」をパートナーに、坂井市における産業の活性化と持続可能な地域経済の発展を目的に、革新的な技術やアイデアを持つスタートアップ企業と坂井市内の企業との協業・連携によってイノベーション創出を促すもの。坂井市春江町には、同事業の拠点となる「SAKAI WEAVE(サカイ・ウィーブ)」も開設されている。
28日のキックオフイベントには、採択の5事業者をはじめ、協業を予定する地元企業、福井県の関係者、坂井市議ら約60人が出席、今年は、事業への高い関心からか、地元金融機関の出席も目立ち、5つのプレゼンテーションに熱心に聞き入っていた。

【2026年度の採択スタートアップ等の概要と事業内容、発表者の発言などは次の通り】


森永 隆志・鶴岡工業高等専門学校教授
鶴岡工業高等専門学校1.<企業名・研究者>
・ 企業・機関名:独立行政法人国立高等専門学校機構 鶴岡工業高等専門学校
(山形県鶴岡市)
・ 校長:長谷川 章
・ 担当:森永 隆志 教授
<事業概要>
・ 食用鶏の?根由来のタンパク質に独自の添加剤を加え、加工用ペレットや繊維化可能な素材を開発。
<実証内容>
・ 商用化に向けた素材の性能・価格調査
・ 樹脂成形品や繊維の試作に向けた協業先の開拓と試作
<実証協力先(予定)>
福井県工業技術センター(福井市)




食用鶏の羽根から生み出す循環型経済
 私たちがやろうとしているのは、従来の「使って、捨てる」経済モデルからの脱却。2023年ごろから、パートナー企業と、食用鶏の羽根を原料としたバイオ素材の研究開発している。羽根から「高純度のフェザープロティン粉末」を生み出し、これを独自の加工技術で成形加工用ペレットとして供給し、バイオマス化成品としてプラスチック市場に参入を考えている。鶏の羽根は世界中で大量に排出されるため、産業廃棄物が資源となる。フェザープロティン由来の化成品はバイオマスポリマーと生分解性ポリマーの両面の特性があり、石油依存からの脱却とマイクロプラスチック問題の解決につながる。
今回の坂井市の実証事業では、プラスチックへの応用のほか、アパレルメーカーとの連携など繊維分野での製品化も目指したい。具体的には、福井県工業技術センターの幅広い研究技術の協力、さらには市内の繊維会社とも連携ができれば、と考えている。

エンカーマス株式会社2. <企業名・研究者>
・ 企業・機関名:株式会社エンカーマス(静岡県浜松市)
・ 代表取締役社長:若口 明人
・ 担当:若口 明人
<事業概要>
・ CFRPの樹脂成分を分解し、炭素繊維を高品質に回収。リサイクルされた炭素繊維を
提供。
<実証内容>
・ リサイクル炭素繊維の活用方法の検討と施策
・ リサイクル炭素繊維の顧客候補の開拓
<実証協力先(予定)>
丸八株式会社(坂井市)




若口明人・代表取締役社長

増え続ける炭素繊維を有効リサイクル
炭素繊維は、軽量かつ強靭な特性を持つ素材で、特に樹脂を混ぜ込んだCFRP(炭素繊維強化プラスチック)はクルマや旅客機体など、今やモビリティに欠かせない素材となっており、世界で大量に製造されている、しかし一方で、そのリサイクルはなかなか進んでいない。私はもと航空会社の航空機の整備管理分野出身、非常に価格的にも高いこのCFRPがたった1回使っただけで捨てられる現状をなんとかしたい、との思いが会社を興すきっかけだった。
弊社は設立1年足らずの会社だが、東京科学大学(旧東京工業大学)や静岡大学の研究者の方の「超臨界」技術を生かすことで、廃棄したCFRPが樹脂と繊維に分解でき、リサイクル可能と分かったのでそれに取り組んでいる。さらに回収した炭素繊維を使いやすい材料にリサイクルし、新たな付加価値を付けて提供することを目指している。
坂井市では炭素繊維を扱う企業で、かつ炭素繊維からCFRP製品を加工するための中間基材化技術にも知見のある丸八株式会社を協業相手として話を進め、将来的にリサイクル炭素繊維の製品化・量産化を図っていきたい。



荘司 成熙 室蘭工業大学助教
室蘭工業大学3.<企業名・研究者>
・ 企業・機関名:国立大学法人 室蘭工業大学(北海道室蘭市)
・ 学長:松田 瑞史
・ 担当:荘司 成熙 助教
<事業概要>
・ ジェル塗布不要の超音波非破壊検査技術を搭載したドローンにより、プラント設備等における亀裂・腐食などの内部欠陥・劣化点検を効率化。
<実証内容>
・ ドローンでの超音波非破壊検査の実証
・検査に求められる精度・水準の整理 
<実証協力先(予定)>
むげんのそら株式会社(鯖江市)




超音波とドローンの組み合わせで、検査をより確実、効率的に
私どもの研究室では、「超音波検査技術とドローンを組み合わせた検査技術の事業化」によるインフラ(社会基盤)構造物の維持、ひいては社会貢献に取り組んでいる。発電など各種プラントの配管や橋りょう、など各インフラ構造物は時間の経過とともに亀裂、腐食、板厚減肉などの劣化が避けられない。それらの欠陥箇所を見つけるのに、ドローンを使った超音波による非破壊検査が行われているが、作業員の人材不足も大きな課題だ。さらに検査箇所にジェルを塗布しないといけなかったり、飛行時間が限られたりするので、ジェルを塗らない「光音響技術」で効率よく検査できる方法を模索している。
今回採択された事業では、開発したセンサーをドローンに取り付け、実際にドローンを飛ばして、現場の構造物での亀裂や減肉などを見つける検証を行いたい。その時に、ドローンの操作性や揺れへの対応、どのくらい安定して測定できるのかなどの精度を確かめたい。坂井市ではテクノポート福井の施設を中心に、どういう検査水準になるかなどのヒアリングを検討している。われわれは検査技術のプロではあるが、ドローンの飛行については専門的な技術を持った「むげんのそら」と協業して、最終的には超音波の検査におけるドローン技術の確立を目指したい。

HIEN Aero Technologies株式会社4.<企業名・研究者>
・ 企業・機関名:HIEN AeroTechnologies株式会社(東京都小金井市)
・ CEO:御法川  学
・ 担当:御法川 学
<事業概要>
・ ガスタービンと電動を組み合わせたハイブリッドドローンにより、長時間・長距離・高重量輸送を実現。
<実証内容>
・ハイブリッドドローンの長時間浮上による性能の実証
・大型ヘリコプターUAVを用いた実証 
<実証協力先(予定)>
福井県福井空港事務所(坂井市)




御法川学CEO

福井空港で 次世代eVTOLの機体開発を
われわれは次世代航空機の研究・開発を目的に2011年に創業、主に小型の飛行機にこだわってeVTOL(イーブイトール=電動垂直離着陸機)を開発している国内でも数少ない会社。いま手がけているのは有翼で、ガスタービンと電動を組み合わせたハイブリットeVTOL。簡単にいうとヘリコプターとドローンの中間に位置し、電池だけでは長く飛べないので、ガスタービンをエンジンとして活用し長時間飛行が可能になるタイプ。
 強みは、かなり早い段階からガスタービンハイブリッド式で飛行や開発を続けていること、石川県加賀市で官民協議会を立ち上げるなど、次世代空モビリティ(AMM)、空飛ぶクルマの導入に向けたルールづくりにも携わってきた。福井空港の存在は以前から、すごく気になっていて、使いたいと思っていたので、今回坂井市と縁が出来てうれしい。開発に当たっては、私たちはドローンと違ってあくまで航空機目線を大事にしたい、と考えており、空港とか飛行場を使うことを主に考えたい。福井空港をベースに、大型ヘリコプターUAV(無人航空機)を用いて騒音や環境への影響、物流サービスへの可能性などを調べるほか、ハイブリッドUVAの浮上試験や性能評価をやってみたいと考えている。 


Bioworks株式会社の葭田悠介氏
Bioworks株式会社5.<企業名・研究者>
・ 企業・機関名:Bioworks株式会社(京都府精華町)
・ 代表取締役社長:坂本 孝治
・ 担当:PlaX事業部マテリアルチーム 葭田雄介氏
<事業概要>
・ 植物由来のポリ乳酸に独自技術の添加剤を加え、商用利用に耐えうる新素材「PlaX」を開発。
・パートナー企業との共創を通じて、アパレル産業の脱石油化と資源循環を目指す。
<実証内容>
・ 域内における高付価値なPlaX繊維製品(お守りなど)の試作・開発
・ ケミカルリサイクルを見据え、自治体や神仏仏閣と連携した持続可能な回収インフラのモデル構築
<実証協力先(予定)>
松川レピヤン(坂井市)




植物由来の新素材で作った「お守り」を未来のカタチへ
弊社はサトウキビ由来のポリ乳酸に、独自の添加剤を加えて改質したバイオ100%の新素材「PlaX繊維」を開発、製造するベンチャー企業。このPlaX繊維は、石油由来のポリエステルのような合成繊維の代替となるもので、繊維としての耐久性にも優れ、染料が浸透しやいというメリットもある。さらに、難しいとされたバイオ素材の長繊維の量産化も可能になった。
 このPlaX繊維を使った実証では、坂井ほや丸のPlaX100%のジャカード織り「お守り」を開発したい。お守りは1年後に神社・寺院に古いものを返納して、新調したものに取り換えるという日本特有のシステムがあり、そこに着目。お守りを取り換える際の回収方法にもサブスク型も採用するなど、工夫を凝らしたい。
既に以前から取り引きのある松川レピヤンと、話を進めており、PlaX繊維のお守りを作り、全国へ広めることで、坂井市の繊維の振興と持続可能なリサイクル・エコノミーの実現を目指す。



長谷川正広坂井市総合政策部長
「新たな“化学反応に期待”」(坂井市より)長谷川 正広・坂井市総合政策部長
行政マンとして、ここ数年地方創生政策に携わり、市としていろんな政策を試みたが、人口減少の抑制化につながっていない、と反省している。その反省を踏まえ、「やはり産業の育成が大事」と2年前からこの新産業共創事業に取り組み始めた。その後、発足した高市政権が打ち出した地域未来戦略をみると、この政策の方向性は間違っていない、と感じる。人間には人生を歩むに当たって、生活のど真ん中には仕事というものがあり、その仕事が地位的にもやりがい的にも骨太のものでないと、若者の心には刺さらない。
 この事業はまだ1年を終えたばかり。スタートアップの集積を狙って県外のスタートアップA社と地元企業B社を結び付けるわけだが、実はA社とB社のつながりだけでなく、B社の仲間であるC社とA社が結びついたり、私たちが想像もしなかった“化学反応”が起こっている。今回、参加のスタートアップや地元の企業・関係者の皆さんにも、この“予想しない化学反応”が2年目にも必ず生まれると期待している。


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