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アニメ・ゲーム登場商品に見る経済効果-「ドクペ」出荷は飛躍的増加に

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■震災の影響で2011年の出荷本数は下降

炭酸飲料水 まず、飲料水業界における「炭酸飲料水」の出荷本数について調査を行った。このデータを見ると2008年から2010年まで右肩上がりであがってきている(図1参照)。それが、2011年、若干下降した。これについて、データを提供してくれた「飲料総研」さんはいう。「震災の影響で3月~5月の売り上げが落ちました。設備がダメージを受けたり、飲料水の増産のために設備を空けたりしたことが影響しています」と。


炭酸飲料水の中で、今回は2011年に秋葉原やネットで「関連アニメ(シュタインズ・ゲート、神様のメモ帳など)が発端で売り切れ状態になった」として話題になった「ドクターペッパー」にフィーチャーして調べてみることにした。

■「ドクペ」出荷量が飛躍的増加

シュタインズ・ゲート ドクターペッパーは1885年にアメリカで発売され、日本には1973年に上陸した炭酸飲料水。販売網の関係で、現在は関東近県と静岡や長野の一部、沖縄地区でしか実質販売されていない。「シュタインズ・ゲート」主人公の岡部倫太郎いわくドクターペッパーは「知的飲料」だとか。(注:シュタインズ・ゲート本編の中では商標の関係で実際はドクターペッパーという表記は出てこない。)

ドクターペッパー そのドクターペッパーについても、2008年からの出荷本数推移を調べてみた。図2がそのグラフである。2010年までは前述の炭酸飲料水全体の売り上げと比較的伸び率が同じだが、2010年から2011年の伸びは30万ケースの増加。震災が起こったにも関わらずドクターペッパー単体の出荷本数は飛躍的に増加している。

■アニメ作品が売り上げアップを後押しか

ドクターペッパー ドクターペッパーの出荷本数の増加に起因したと思われる、「シュタインズ・ゲート」と「神様のメモ帳」。前者のシュタインズ・ゲートは秋葉原を舞台にした人気ゲームのアニメ化作品で、アニメ放映時期は2011年の4月~9月。主人公の岡部倫太郎とヒロインの牧瀬紅莉栖が劇中で「ドクペ」をよく飲んでいる。後者の「神様のメモ帳」はライトノベル原作のアニメ作品で、放映時期は2011年の7月~9月。主人公のアリス・紫苑寺有子がやはりドクターペッパーを劇中でよく飲んでいた。  

 2011年のドクターペッパーの出荷本数の増加は、これら作品の中で主人公達が愛するドクターペッパーをおいしそうに飲むシーンが視聴者の目にとまり、購入を検討。秋葉原をはじめ業者関係者もその状況に乗じ、ソーシャルネットワークなどにも拡散し総合的に出荷本数を押し上げたと言っても過言ではないだろう。

■二次と三次を繋ぐ実体験

 今回、アニメやゲームに出てくる「商品」とくに「炭酸飲料」に注目をしてみた。結果として、登場人物が愛する商品をユーザーも体験したくなり購入に至るという消費者行動を垣間見ることができた。これは、アニメ作品中に出てくる「場所」へ実際に行って体験してみたいという「聖地巡礼」と同じ心境がユーザーにはあるのだと思われる。アキバ経済新聞ではこのようなアニメやゲーム作品に出てくる商品の経済効果について、今後も注目していきたい。

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