パン・アキモト(栃木県那須塩原市)が手掛ける「パン缶」が3月16日、若田宇宙飛行士とともに宇宙に飛び立った。
同社が手がけるパン缶は、パンを缶詰にしたもの。長期間の保存が可能で、災害用保存食として利用されている一方、秋葉原ではキャラクターラベルを貼り付けたさまざまなパンの缶詰が登場し、話題となっている。
パン缶開発当初から、「将来はNASAにも認められるような高品質の製品に育てたい」と取り組んできた同社。今回の積載の経緯は2001年にさかのぼる。同年、初めてNASA本部を訪ね、有人飛行・食品担当責任者のヴィッキーさんと宇宙食について協議。「現状ではNASA採用は難しい。しかし将来日本人飛行士が持っていきたいとなれば搭載の可能性も」との返答をもらい、以降、若田さんをはじめとする日本人や外国人宇宙飛行士に商品の提案・提供を繰り返す。
昨年、JAXAを通じてNASAに検査を依頼。NASAからの「製品安全確認の報告」を受けて、若田さんが同社のパン缶の宇宙への持参を希望。今月16日の搭載にこぎ着けた。「SPACE BREAD」と題して積載されたことについて、同社広報担当者は「パンの缶詰を通じて社会貢献することが弊社のモットー。食品の安全・安心が叫ばれる昨今、NASAの食品規格に準じた、安心して食べていただける商品だということが証明されたことが嬉しい」と話している。
若田さんと同社の関係については、「当社創業者の故・秋元健二が元JALの国際線飛行機の無線通信士だった一方、若田さんはJALの整備士出身。そんな縁もあり、数年前から若田さんの活動を影ながら応援してきた。今回の長期宇宙滞在に当たり、過酷で緊張が絶えないミッションの中、『おいしくて長期保存が可能なパン』で食の一助になれば」と話している。