■「キング・オブ・オタク」の幼少期~現在
ボーメさんは1961年、大阪に生まれ小学4年生の頃から当時模型店であった海洋堂に出入りを始める。デザイン系専門学校に入学(中退)し東京のアニメ撮影会社に入社するも、あまりの労働条件の悪さから3カ月で退社。東京にギャラリーを出した海洋堂でアルバイトするうちに社員となり大阪に帰った後は次々にフィギュアを発表。現在、ボーメさんは美少女フィギュア界の第一人者として、また常に先頭を走り続ける造形師として名をとどろかせている。主要作品として、著名作家の描くイラストレーションを立体化した「鬼娘」や「虎娘」、「美少女戦士セーラームーン」シリーズや、「新世紀エヴァンゲリオン」の「綾波レイ」「惣流・アスカ・ラングレー」などが挙げられる。また、ボーメさん自身の創作キャラクターによるエロティックな美少女フィギュアも人気が高い。一方で、美術作家・村上隆さんの等身大美少女フィギュア制作プロジェクト「Project Ko2(プロジェクトココ)」への参加を通じ1998年、ニューヨークのアートギャラリー「Feature Inc」で個人作品展を開催。コンテンポラリーアート(現代アート)界へのデビューを果たしたほか、2001年には「キング・オブ・オタク」としてカルティエ現代美術財団主催の企画展「un art populaire」(2001年)へ招聘されるなど、その創作領域は幅広い。
■ 初期作品から最新作まで約80点展示
毛筆で大きくペイントされた「ボーメ」の文字と、等身大サイズの「鬼娘」が私たちを出迎えてくれた「ボーメ ~アーティストデビュー10周年記念展~」。同記念展では、ボーメさんオリジナルの作品から、過去のワンダーフェスティバルで販売された作品、「ミスティ・メイ」「不知火舞(餓狼伝説)」「ナコルル(サムライスピリッツ)」「田村えり子(アイドル伝説えりこ)」「ミンキーモモ」にフィーチャーした作品などのほか、村上隆さんとの「Project Ko2」に関する作品・パネル、1メートルを超える「成瀬川なる(ラブひな)」のソフトビニールキットなど、ボーメさんの初期作品から最新作まで約80点が公開されていた。中でも、「ラムちゃん(うる星やつら)」は、同氏が制作したという1983年の作品で、現在とは異なったフィギュアのフォルムに歴史を感じることができた。