展覧会「ラフ ∞絵」が4月2日から、アーツ千代田3331(千代田区外神田6)で開かれる。12月28日に報道陣向けに内容が公開された。
発表会では、アニメ、キャラクターデザインの世界をけん引してきた秋本治さん(「こちら葛飾区亀有公園前派出所」)、天野喜孝さん(「ファイナルファンタジーシリーズ」)、大河原邦男さん(「機動戦士ガンダム」)、高田明美さん(「魔法の天使クリィミーマミ」)と、同展の実行委員長で、4人のアーティストの始まりとなった交差点「タツノコプロ」で出会った演出の布川ゆうじさん、5人の恩師のタツノコプロ・笹川ひろしさん、展覧会開催のきっかけとなった現場の証人として声優の平野文さんが登場。
「おととしの年末食事会の際、集まったメンバーで『何かやりたいね』となって私が指名された」と「ラフ ∞絵」展を企画したきっかけについて話すのは、実行委員長の布川さん。その食事会の際、イラストを寄せ描きし、それぞれが持ち帰った「始まりの色紙」を、同席していた声優の平野さんが持参した。布川さんは「一緒にやる展覧会はどんなことができるか、この色紙を見て(「ラフ∞絵」の企画を)ひらめいた。皆さんラフを保管しているか不安だったが、ちゃんと保管していた」と続ける。
この日はお互い「描いてみたかった」と他アーティストの代表作を描く展覧会の目玉「チェンジ・アンド・チャレンジ」のうちの1枚を発表した。
秋本さんが描いたのは「科学忍者隊ガッチャマン」の白鳥のジュン。「高校生の時、アニメに憧れてタツノコプロに入ったが、一人で悶々(もんもん)と作る漫画とは違ってアニメはみんなで作るからとても楽しかった。ジュンが好きでジュンばかり描いていた」と当時を振り返る。
天野さんが描いたのは油彩で「機動戦士ガンダム」。「生れて初めてガンダムを描いた。今回は4人の展覧会なのでいつもより自分の責任が重くないかなと思って、楽しく描いた」(天野さん)と話していた。
大河原さんは「ギャグ・シリアス・スーパーロボット」をテーマに「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の両津勘吉を描いた。「デザインするときは遊び心が大事だと思っている。プロダクトデザインは不必要なものを取っていくが、アニメのメカニックデザインはさまざまなものをくっつけていき、印象を残す作業だと思っている。今回、これを描きながら楽しませていただいた」と語る。
作品が未完成だという高田明美さんは、アニメ業界に入ったきっかけとなった「科学忍者隊ガッチャマン」の大鷲の健を描いた作品を持参し、「大学生の時に月に1回、タツノコプロに見学に行き、そのまま入社した。そのご縁で3年前に描いたこの作品を持ってきた」とコメントしていた。
「ラフ∞絵」展のもう一つのテーマは「未来」。5人がさらなる進化を続ける未来と、次世代のクリエーター育成の意味を持つという。布川さんは「この展覧会は特に若い人たちに見に来てほしい。アニメもデジタルが進化してタブレットで原画を描く時代になってきたが、この時代に、この4人が描いたラフという肉筆の強さ、生々しい迫力を体感してもらえれば」と意気込みを見せた。
開催時間は11時~20時。料金は一般2,000円(小・中学生は無料)を予定。4月16日まで。