ラオックス(港区)は9月20日、同社が運営する「ラオックス ザ・コンピュータ館」(千代田区外神田1)を閉館する。
同社の発表によると、閉館は同社の経営再建の一環として行われるもので、固定資産である同店の土地と建物を売却することで有利子負債を完済し財務体質を強化するため。譲渡先は不動産業務を手がけるアイ・キャピタル・エステート(渋谷区)で、譲渡日は8月上旬、譲渡価格は現在協議中。
ラオックス ザ・コンピュータ館は1990年4月、同社の創業60周年を記念してパソコン専門店の第1号店としてオープン。現ソフトバンク(港区)の孫社長がラオックスに対して全館コンピュータを扱う専門店の開店を提案、両社の共同プロジェクトによる店作りを行い、店名も孫社長が出版していた雑誌名の「The Computer」をそのまま提供してもらったという。
開店以来、マイクロソフトのビル・ゲイツ会長をはじめ業界関係者の見学・視察が相次いだほか、秋葉原の名所として業績を伸ばし、1993年度には家電専門店の店舗別売上高で全国1位を獲得。書籍売場を1階に配置するなどの手法が、その後の全国のパソコン専門店における店作りのモデルになったというエピソードもある。しかし、家電小売業界における量販店間の売上競争の激化やパソコン販売実績の低迷などにより、経営環境が悪化。現在、同社は経営再建に着手している。
秋葉原では「ザ・コン」、同店の地下フロアを「ザコ地下」などの愛称で親しまれ、夜のネオンが一際目立っていた同店。今後、代替地での運営などは検討中だという。