AIが導き出した2050年における宇都宮市の7種類のシナリオと分岐点
株式会社日立システムズ(代表取締役 取締役社長:渡邉 岳彦、本社:東京都品川区/以下、日立システムズ)、宇都宮市(市長:佐藤 栄一/以下、宇都宮市)、KPMGコンサルティング株式会社(代表取締役:関 穣、田口 篤、知野 雅彦、本社:東京都千代田区/以下、KPMGコンサルティング)は、2024年4月から12月にかけて、AIを活用した政策シミュレーションに関わる共同研究を実施しました。
今回の共同研究では、人口減少と高齢化が進行する中で持続可能な宇都宮市の実現に向けたシナリオを探索することを目的に、宇都宮市の「第6次宇都宮市総合計画後期基本計画」等から358の指標を抽出し、過去10年間のデータを基にAIを用いて、約2万通りのAIシミュレーションを行い、2050年における宇都宮市の姿について7種類のシナリオを導き出しました。
さらに、7種類のシナリオのうち、2050年時点の指標の状況が最も改善するシナリオを実現するためには、2050年までに4回のターニングポイントがあること、4回のターニングポイントを迎えるまでに、特にどのような指標を重視すべきかが分かりました。
宇都宮市は今回の共同研究の結果を参考にしながらEBPM*1を推進していきます。
*1 EBPM:エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキングの略で、証拠に基づく政策立案のこと。政策の企画をその場限りのエピソードに頼るのではなく、政策目的を明確化したうえで合理的根拠に基づくものとすること。
■背景
2017年に内閣官房統計改革推進室が発行した「統計改革推進会議 最終とりまとめ」にEBPM推進の必要性が明記され、EBPM推進委員会が発足するなど、日本でも取り組みが始まりました。政府の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)」にも繰り返し記載されており、国として重視している事柄です。地方自治体においてもEBPMは注目されており、導入に向けた検討が進められています。
■概要
今回、人口減少と高齢化が進行する中で持続可能な宇都宮市の実現に向けたシナリオを探索することを目的とし、以下、2つのテーマでAIを活用した共同研究を実施しました。
1.ネットワーク型コンパクトシティを土台としたまちづくりの推進で、将来の宇都宮市がどのようなまちになるのか
2.めざすべきまちの実現のために、いつどのような取り組みに注力をすべきか
共同研究では、宇都宮市の「第6次宇都宮市総合計画後期基本計画」や個別分野別計画における「交通」「子育て・教育」「健康・福祉」「安全・安心」などの政策の柱から358の指標を抽出し、各指標の過去10年間のデータを分析用のデータとして用いました。
上記、分析用のデータを用いて市職員等で構成する3チームでのワークショップを行い、それぞれの指標がどのように影響しあうのか、指標間の因果関係を定義した「因果連関モデル」を作成しました。作成した「因果連関モデル」をAIを用いて分析し、約2万通りのAIシミュレーションを行いました。そして、2050年における宇都宮市の姿について7種類のシナリオと2024年から2050年の間でそれぞれのシナリオに至るまでのターニングポイントとターニングポイントを迎えるまでに重視すべき指標を導き出しました。
そして、7種類のうち、2050年時点の指標の状況が最も改善するシナリオを選択することができました。
最も改善するシナリオに至るには2030、2031、2043、2044年の計4回のターニングポイントがあること、4回のターニングポイントを迎えるまでにどのような政策を重視すべきかを把握することができました。
因果連関モデル
■今後の展開
宇都宮市は今回の共同研究を参考にしながらEBPMを推進していきます。
KPMGコンサルティングと日立システムズは自治体におけるEBPMの推進をサポートし、地域活性化に貢献していきます。