組織行動科学(R)の研究・教育開発を行うリクエスト株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:甲畑 智康)の判断デザインラボラトリーは、組織で働く人が、発生した問題への対応から、潜在する条件の確認、将来に向けた問題の設定へと仕事を広げるための実務資料、「なぜ、多くの組織人は『発生型の問題』にしか対応しないのか」を、全11ページの図解資料として公開しました。
本資料は、2026年8月31日に公開した「判断デザイン|仕事設計編」を、何を問題として扱うかが定まる前の段階へ広げたものです。https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000226.000068315.html
前回の資料では、仕事を速く完了させるだけでなく、本人に次の仕事で使える判断経験を残すために、判断へ切り替える地点、比較に使う基準、本人へ任せる範囲と相談条件、実行結果を次の判断基準へ戻す仕組みという、4つの仕事条件を整理しました。
しかし、判断経験が残る条件を整えるだけでは、十分ではありません。
組織が、苦情、不具合、遅延、未達など、すでに表面化した事象だけを「問題」として扱っていれば、本人が経験する判断も、発生後の対応に偏ります。
今回の資料では、そのさらに上流にある、
- 何の変化に気づくのか
- 次に、どの事実を確かめるのか
- 何を、今取り組む問題として設定するのか
という仕事に焦点を当てました。
本リリースでは、11ページすべてを公開します。
全11ページはこちらからダウンロードできます。
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前回の「判断デザイン|仕事設計編」が扱ったのは、本人や組織が、すでに「ここでは判断が必要である」と認識した後の仕事です。
- 何を根拠に比較するのか
- どこまで本人に任せるのか
- どの条件で組織へ相談するのか
- 実行後の結果を、次の判断へどう残すのか
これに対して、今回の資料が扱うのは、その前段階です。
現実の仕事では、何が問題なのかが、最初から明確であるとは限りません。
相手の言葉が以前より少なくなった。説明しても行動につながらない。相談される時期が遅くなった。要望どおりに対応しても、仕事が前へ進まない。
こうした小さな変化を、単なる印象や相手への評価で終わらせず、次の事実確認を始める入口として扱う必要があります。
二つの資料を接続すると、判断デザインにおける仕事設計は、次の一連の流れになります。
-
相手の反応差から、確認すべき事実と問題候補を見つける-
問題を仮に設定し、4つの仕事条件の中で本人が判断する-
実行結果と相手の反応を、次の判断基準と仕事設計へ戻す
今回の11ページは、前回の5ページの単なる続編や再編集ではありません。
前回の資料と接続することで、問題の発見から、判断経験の形成、結果からの学習までを一つの仕事としてつなぐ実務資料です。

問題が大きくなる前に気づけなかったとき、組織ではしばしば、「問題意識が足りない」「もっと先を読んでほしい」「自分で考えて動いてほしい」という言葉が使われます。
しかし、
人は、言葉で求められたことだけではなく、日常的に仕事として割り当てられていること、期限を設定されていること、上司から問われること、評価されることへ適応していきます。
発生後の対応には、期限と責任がある。
一方で、違和感を確かめる仕事には期限がない。
問題を処理した実績は評価される。
一方で、問題になる前の兆候を持ち込んでも、正式な成果として扱われない。
このような仕事の中で、発生後の対応を優先することは、本人にとって合理的な行動です。
したがって、発生型への偏りを変える際に最初に問うべきなのは、本人の意識ではありません。
この組織では、問題になる前の変化を確かめることが、本当に仕事になっているか。
という仕事設計です。

本資料では、問題への向き合い方を、実務上の整理として「発生型・潜在型・設定型」の三つに分けています。
ただし、これは、発生型より潜在型、潜在型より設定型の方が優れているという能力の序列ではありません。
発生した問題へ迅速に対応する仕事は、安全、品質、顧客対応、事業継続のために不可欠です。
問題になる前の変化を捉える仕事も必要です。
将来つくりたい状態から、今取り組む問題を定める仕事も必要です。
重要なのは、発生型をなくすことではなく、「
発生型だけで仕事を終わらせないこと」です。
設定した問題を実行する中で、予想外の事象が起きれば、再び発生型の対応が必要になります。
そこで得た事実から、まだ見えていなかった条件を確かめ、必要に応じて問題の設定を見直します。
三つは、一方向に進む成長段階ではなく、実際の仕事の中で往復する関係にあります。

発生した問題を速く処理すること自体が、問題なのではありません。
問題は、影響を止め、一時的に状態を戻した時点で、仕事全体も完了したことになる点にあります。
処理が終わった後に、
- なぜ、今回の事象が生じたのか
- どの条件が、まだ残っているのか
- 相手の仕事では、何が進みにくかったのか
- 次に、何を確かめる必要があるのか
という問いが残らなければ、発生条件も組織の仕事も変わりません。
その結果、同じような問題が再び起きます。
再発するほど、目の前の対応は増えます。
対応が増えるほど、背景を確かめる時間は減ります。
そして、さらに発生後の仕事へ集中するようになります。
この循環を変えるには、単に「振り返りの時間をつくる」だけでは不十分です。
仕事の完了を、「
問題を処理した時点」ではなく、「
問題を処理し、相手の反応を確認し、次に確かめる問いを一つ残した時点」へ変える必要があります。

発生型への対応に慣れてきた人へ、最初から、「潜在問題を発見しよう」「将来から逆算しよう」「本質的な問題を設定しよう」と求めても、日常の仕事と結びつきにくくなります。
そこで今回の資料では、移行の入口を、
相手の反応差に置きました。
ここでいう相手とは、顧客だけではありません。
部下、上司、同僚、他部門、取引先など、自分の仕事によって影響を受ける人を含みます。
相手の反応差を見るとは、相手を採点することではありません。
自分の問い方、説明の順序、情報の渡し方、関わる時期を少し変えた結果、相手の言葉や行動にどのような変化が生じたのかを、仕事の事実として捉えることです。
反応が変われば、「なぜ、今回は以前と違ったのか。」という問いが生まれます。
反応が変わらなければ、「まだ確認できていない条件があるのではないか。」 という問いが生まれます。
どちらの場合も、相手の反応差が、次の事実確認を始める入口になります。

「相手の反応をよくする」という表現は、相手を喜ばせること、賛成してもらうこと、こちらの意図どおりに動かすことと誤解される可能性があります。
しかし、本資料が扱う反応は、好意や従順さではありません。
判断の基準となるのは、「
相手の仕事が、以前よりも前へ進んだか。」という点です。
その場で「分かりました」と言われても、その後の行動が変わらなければ、仕事が進んだとは限りません。
反対に、「この条件では判断できません」「社内では、ここが障害になります」「この情報があれば、次へ進めます」という反応が出た方が、前進している場合があります。
それまで表に出ていなかった判断条件や制約が明らかになり、次に確認すべきことが見えたからです。
相手の反応差を扱う目的は、相手を操作することではありません。「
こちらの見立てや関わり方が、相手の実際の仕事に合っていたかを確かめること」です。

相手の反応が変わったとしても、一度の変化だけで、「自分の関わり方が正しかった」「問題の原因はこれだった」と断定することはできません。
相手の反応には、本人との関わり方以外にも、その日の状況、役割、時間的制約、周囲の関係者、他の出来事など、複数の条件が影響します。
そのため、反応差は、答えではありません。「
次に何を確かめる必要があるのかを知らせる観測値」として扱います。
反応差を見た後に必要なのは、本人の解釈を正解にすることではなく、相手の実際の仕事を確かめることです。
- 相手は何を進めようとしているのか
- 何を判断しなければならないのか
- 誰と調整する必要があるのか
- 何が不足しているために動けないのか
一度の反応から因果関係を決めつけず、仮説として次の事実確認へつなぐことで、個人的な印象や相手への評価が、問題を発見する仕事へ変わります。

今回の11ページと、前回公開した「判断経験が残る4つの仕事条件」を組み合わせると、一つの仕事の中に、次の循環をつくることができます。
相手の反応差に気づく
↓
相手の仕事と、まだ分からない条件を確かめる
↓
今取り組む問題を仮に設定する
↓
判断へ切り替える地点、比較基準、任せる範囲、相談条件を整える
↓
本人が比較し、選び、実行する
↓
実行結果と相手の反応を確認する
↓
判断基準、手順、問題の設定を更新する
前回の資料だけでは、表面化した問題について、本人に判断経験を残す仕事設計にとどまる可能性があります。
今回の資料だけでは、問題に気づいても、その後の判断を安全に本人へ任せ、経験として残す条件が不足します。
二つを接続することで、「
何を問題として扱うかを見つける仕事」と「
その問題について判断経験を残す仕事」が、一つの実務としてつながります。

相手の反応差から学ぶ実践を定着させるには、本人だけを変えようとしてはいけません。
例えば、本人が上司へ、「まだ明確な問題にはなっていませんが、相手の反応が以前と違います」と伝えたとします。
そのとき上司が、「結局、何が問題なのか」「対応策を決めてから報告してほしい」「まず、目の前の数字を達成してほしい」と返せば、本人は次から、未完成の気づきや仮説を持ち込まなくなります。
潜在している条件は、最初から十分な根拠を持った完成形で現れるわけではありません。
小さな違和感、予想とのずれ、言葉になっていない反応として現れます。
その段階で上司や組織が、
- 実際に相手は何と言ったのか
- 以前と何が違ったのか
- まだ分からないことは何か
- 次に何を小さく変えて確かめるのか
を一緒に考えられるかどうかが、その後の問題発見を左右します。
個人教育だけを変えても、仕事の中で返される反応が変わらなければ、行動は定着しません。
必要なのは、新たな制度や報告書を増やすことではなく、既存の仕事の中で、
未完成の気づきを次の事実確認へつなげられるようにすることです。
AIは、情報整理、仮説の提示、選択肢の比較、反証、不足情報や見落としの指摘を支援できます。
一方で、仕事の目的を定め、一次情報を確かめ、守る条件を決め、AIの出力を採用するか判断し、実行後の結果に責任を持つ役割は、人と組織に残ります。
前回の「判断デザイン|仕事設計編」では、AIを最終回答として置くのではなく、本人が確認、比較、選択、結果からの学習を行うための判断材料として位置づける重要性を示しました。
今回の資料は、その考え方をさらに上流へ広げます。
AIに何を問い、何を分析させるのかは、その前に何を問題として設定したかによって決まります。
表面化した問題だけをAIへ渡せば、AIによって、発生後の処理は速くなるかもしれません。
しかし、それだけでは、問題になる前の兆候を捉えたり、将来つくりたい状態から取り組む問題を定めたりする仕事は増えません。
AI時代に重要になるのは、答えを得る速度だけではありません。
どの反応差に着目し、何をまだ分からない事実として確かめ、何を問題としてAIと人の仕事に載せるのか。という、問題設定の上流です。
2026年8月31日に公開した資料は、本人に判断経験を残すための仕事条件を扱いました。
今回の資料は、
判断すべき問題を見つけ、設定するための仕事の入口を扱っています。
二つの資料に共通するのは、判断できない状態や、問題を見つけられない状態を、本人だけの能力や意識の問題にしないことです。
本人へ「もっと考えよう」と求める前に、
- どの事実を見る仕事になっているか
- 相手の反応を確認する機会があるか
- 分からないことを持ち込めるか
- 小さく関わり方を変えられるか
- 実行後の結果を次の仕事へ戻せるか
を、仕事の側から見直します。
判断デザインが目指すのは、すべての人を特別な問題発見者にすることではありません。
日常の一仕事の中で、
-
相手の反応差から、確かめるべき事実を見つける-
事実から、今取り組む問題を仮に設定する-
本人が安全に判断し、実行する-
結果と反応から、判断基準と仕事を更新する
という経験を積める状態をつくることです。
人は、正しい考え方を説明されただけでは、仕事の見方を変えません。
自分の関わり方を変えたことで、相手の言葉や行動が変わり、仕事が前へ進んだ。
その実感が、次に見る事実と、次に行う判断を変えます。
発生した問題を速く処理する力に加えて、小さな反応差から背景を確かめ、将来つくりたい状態に向けて問題を設定する力を、日常業務の中で育てる。
今回の11ページは、そのための仕事設計を考える資料です。
人に「もっと問題意識を持とう」と求める前に、その人の仕事は、相手の反応差に気づき、次の事実確認と問題設定へ進める仕事になっているか。
問題発見を一部の人の直感やセンスに委ねず、日常の仕事の中で反復できる経験へ変えることが重要です。
「AI時代、人材育成の鍵は『仕事設計』― 判断経験が残る4つの仕事条件を5ページで公開」
本人に「もっと考えて」と求める前に、AI利用、人材育成、管理職への相談、マニュアルを一つの仕事からつなぎ直す「判断デザイン|仕事設計編」を公開しています。
判断デザインとは、AIを含む仕事の中で、事実確認、問い、比較、選択、実行、結果確認、判断基準の更新が、本人、チーム、組織へ残るように仕事条件を設計する考え方です。
AIを使わず、すべてを人が考える仕事へ戻すものではありません。
また、時間をかけ、苦労するほど人が育つという考え方でもありません。
AIによって省略してよい作業と、人と組織に残すべき判断過程を分け、仕事を速く進めながら、次の類似場面で使える判断経験を形成することを目指します。
今回の資料は、この仕事設計を、
判断が必要になった後だけでなく、何を問題として扱うかが定まる前まで広げた実務資料です。
「判断デザイン」「判断経験設計」「判断構造設計Pro」は、リクエスト株式会社が商標登録出願中です。

組織行動科学(R)は、組織で働く人の思考と行動が「なぜ起こり、なぜ続くのか」を、事業環境、歴史、経験から解明し、より善く再現するための手段です。
リクエスト株式会社は、980社・33.8万人の働く人のデータを基盤に、組織で働く成人の研究と教育開発を行っています。
会社名:リクエスト株式会社
代表者:代表取締役 甲畑 智康
所在地:〒160-0022 東京都新宿区新宿3丁目4番8号 京王フレンテ新宿3丁目4F
事業概要:リクエスト株式会社は、「より善くを目的に」を掲げ、980社・33.8万人の働く人のデータに基づく「組織行動科学(R)」を基盤に、組織で働く成人の研究と教育開発を行っています。
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