プレスリリース

「もっと考えて」は、なぜ難しいのか ― 組織行動科学(R)のリクエスト株式会社、「考える」を捉え直す図解12枚と研究レビューを公開

リリース発行企業:リクエスト株式会社

情報提供:

980社・33.8万人の働く人のデータを基盤に、組織行動科学(R)の研究・教育開発を行うリクエスト株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:甲畑 智康)は、『「考える」とは何か』の図解版全12枚と、研究の詳細・適用限界・参考文献を収録したレビューを公開しました。

本資料は、職場で使われる「もっと考えて」「考えればわかる」という言葉を入口に、考えることを本人の努力や能力だけで捉えず、何を対象に、どの範囲で、何を根拠に、どう確かめればよいかを選ぶ難しさから整理したものです。

国内外の関連研究と当社の既公表資料を基に、「考えていること」と「仕事の条件に照らして適切に考えていること」を区別し、日々の指示、対話、仕事の任せ方、経験の振り返りに接続しました。

図解版は、職場で論点を共有するための入口として構成。レビューは、その背景となる研究、実務への適用範囲、当社の定義・提案の位置付けを確認できる資料として併載しています。

P.1「『考える』とは何か?」

図解で全体像をつかみ、レビューで根拠と適用限界を確認する

今回公開する二つの資料は、役割を分けています。

研究レビューの参考文献・資料には、学術論文、書籍、研究報告、当社資料、報道実務の原則を含みます。30件すべてを、同じ種類の実証研究として扱うものではありません。

研究レビュー・実務提案の全文はこちら

「考える」とは何か―「もっと考えて」「考えればわかる」を、思考・経験・仕事の設計から捉え直す
d68315-242-245e9e832d11a8660794f29a033664c2.pdf

「考えていない」と評価する前に、何を考えていたかを確かめる

資料を読みやすく整える。説明の順番を工夫する。誤りを減らす。そうした検討を行っていても、依頼者が求めていたものと成果物がずれることがあります。
例えば、本人は「内容を分かりやすくまとめる仕事」と捉え、依頼者は「受け手が次の判断をできるようにする仕事」と捉えているかもしれません。
この場合、必要なのは、検討量を増やすことだけではありません。双方が、何をする仕事だと理解していたかを確かめることです。
熟達研究では、専門家と初心者の違いが、知識量だけでなく、問題の捉え方に表れることが示されています。また、考える能力を持つことと、その能力を使うべき場面に気づくこと、自分の判断の確かさを見積もることは、区別して扱われています。本資料は、こうした研究を踏まえ、職場でのすれ違いを捉える観点を整理しています。
ただし、依頼者の想定が常に正しいわけでも、検討範囲が広いほどよいわけでもありません。目的、期限、役割、影響の大きさに照らして、今回必要な範囲を共有することを重視しています。

P.2「『もっと考えて』は、何を求めているのか」


P.3「本資料で扱う『考える』」


P.4「考えていても、仕事の捉え方が違うことがある」

「分からない」の中身を分け、必要な対応を選ぶ

「もっと考えて」と伝えるだけでは、受け手は、答えを探す前に「何をどう考え直せばよいか」を探さなければならない場合があります。
そこで本資料では、指示の中で省略され得る内容を、対象と目的、検討範囲、必要な材料、考え方と働きかけ、判断基準、終了・相談条件の六つに整理しました。
あわせて、考えれば導けること、学ぶ必要があること、事実を確かめる必要があること、基準を明らかにする必要があることを区別しています。
この整理の目的は、本人を分類することではありません。現在の仕事で何が不足しているかを見極め、次の対応を選ぶことです。
必要な知識がない場面で、考える時間だけを増やす。現場の事実が不明な場面で、推測だけを重ねる。判断基準が共有されていない場面で、本人に結論だけを求める。そうした対応のずれを点検するために使います。
※ 六つの要求と対応の分類は、関連研究を踏まえた当社の実務上の整理です。

P.5「『もっと考えて』に隠れている6つの要求」


P.6「『分からない』を、同じ対応で扱わない」

問いをつくること、責任をもって選ぶこと、経験を残すことをつなぐ

すべての仕事で、最初から問いや目的が明確になっているとは限りません。
本資料では、未確定な考えを図や文章などの形にし、現実や他者との違いに触れることで、何を明らかにすべきかを捉え直す実践も扱います。
当社が提案するアート思考は、既存の言葉や基準では捉え切れない現実を、未確定なまま形にし、その形と素材・他者・状況との往復を通じて、見方・問い・価値仮説をつくり直す実践です。これは、仕事の中で実践・記録・検証するための当社の操作的定義です。
一方、新しい問いや価値仮説が生まれたことと、それを組織として採用できることは同じではありません。必要な事実、判断基準、選べる範囲、相談、結果確認を整える「判断デザイン」へ接続します。さらに、その設計を具体的な一仕事に落とし込み、本人が選び、結果から学べる経験をつくるのが「判断経験設計」です。
本資料では、これらを必ず順番に通る三工程として示していません。基準が明確な仕事では、その基準を適切に使う。既存の捉え方では現実を扱えないときには、問いや前提へ戻る。状況に応じて接続する関係を示しています。

P.7「問いは、考える途中でも生まれる」


P.8「アート思考は、判断の前提をつくり直す」


P.9「問い・判断・経験を、仕事の中でつなぐ」

指示の言い換えだけでなく、考え直せる仕事の条件を整える

本資料が提案するのは、「もっと考えて」を別の言葉へ置き換えることだけではありません。
本人が理解していた仕事を聞く。確認済みと未確認を分ける。次に何を確かめるかを、理由とともに提案してもらう。そのために必要な情報、判断できる範囲、期限、相談条件を共有する。
質問の仕方と、仕事の条件を、両方扱います。
熟達者の考え方を見える形にし、学習者の実践を支え、習熟に応じて支援を減らしていく考え方は、認知的徒弟制でも重視されています。本資料では、その考え方を日々の仕事への関わり方に接続しています。
すべての答えを先に教えるのでも、必要な知識や情報を与えずに考え続けさせるのでもありません。本人が次の確認を選び始められるように支え、できるようになった部分の支援を減らしていくことを提案します。

P.10「『もっと考えて』を、次の一歩に変える」

ベテランのAI活用を、次世代が判断を学べる材料づくりへ

経験を重ねた人が仕事を進める際には、完成した成果物からは見えにくい判断があります。
何に着目したのか。なぜ、その相手に確認したのか。どの事実で見方を変えたのか。どの条件なら、別の選択をしたのか。
こうした判断や注意点を聞き取り、訓練や実務に使える形へ整理する方法は、認知的課題分析でも扱われています。
本資料では、経験継承の観点から、ベテランがAIを使い、判断の背景を次世代が学べる形にすることを重視しています。AIは、説明の不足を質問し、事例を比較し、記録を整理する補助として位置付けます。
ただし、AIで自然な説明ができたことを、過去の思考が正確に復元されたこととはみなしません。当時の記録、本人の記憶、現在の解釈、AIが提案した仮説を分け、人が照合する工程を設けます。
その知見を若手が自分の仕事で使い、条件の違いを確かめ、新しい経験を加えるところまでを継承として扱います。これは若手のAI利用を否定するものでも、世代間の利用効果の優劣を示すものでもありません。

P.11「ベテランこそAIを使い、判断の背景を次世代へ渡す」

成長は、考えた時間だけでなく、次の仕事で確かめる

考えた時間が長いこと、説明が多いこと、資料が整っていることだけで、次の仕事でも判断できるようになったとは限りません。
本資料では、本人が根拠と未確認事項を分けられるか、次の確認を選べるか、判断を維持・変更・保留する理由を説明できるか、別の案件で条件の違いを確かめられるかを、実務上の観察点として示しています。
上司に支えられて仕事が完成したことと、本人が次の仕事で選べるようになったことを、分けて確認する。この観点から、日々の仕事を、成果物を完成させる場であると同時に、判断経験を形成する場として捉え直します。

P.12「育てたいのは、答えを当てる力ではない」

職場での活用に向けて

本資料は、管理職、人材育成担当者、実務指導者、専門職の指導者、AI活用や知見継承を担当する人に加え、自分自身の仕事の進め方を見直したい人を対象としています。
例えば、指示と成果物がずれた一件について、本人と依頼者が何をする仕事だと理解していたかを確認する。必要だった知識、事実確認、判断基準の共有を分け、次の一件で変える対応を決める。そのような対話の材料としての活用を想定しています。
利用にあたっては、図解を、相手に「考えていない」と判定を下すための資料にしないことが重要です。本人と指導者の双方が、仕事の理解と必要な条件を確かめるために使います。
育てたいのは、上司の頭の中にある答えを当てる人ではありません。
自分で事実を確かめ、条件に応じて問いと判断を組み立て直せる人です。
「もっと考えて」の前に、考え直せる条件をつくる。
これが、今回の資料を通じた当社の提案です。

12枚の図解は以下からダウンロードできます

d68315-242-78ae2786297c168faae062674e05098a.pdf

研究レビューの位置付けと適用限界

Word版は、2026年9月9日までに確認した日本語・英語の公開資料に基づく、論点別の研究レビューと実務提案です。
熟達、認知負荷、メタ認知、他者理解、問いの形成、外的な表現と認知、学習支援、経験の可視化、生成AIと仕事・思考などを参照しています。全世界の文献を網羅した系統的レビューや、新たな効果量を推定したメタ分析ではありません。
資料内では、研究で示されていること、当社の操作的定義、実務上の提案を区別しています。提示した分類や観察点を、効果が実証済みの診断尺度として扱うものではなく、今回の統合提案全体の因果効果を証明したものでもありません。
また、「もっと考えて」という言葉を一律に禁止すること、世代間の思考力を比較すること、長時間労働を育成方法として推奨すること、AIによる一律の能力向上・低下を主張することを目的としていません。



組織行動科学(R)について

組織行動科学(R)は、組織で働く人の思考と行動が「なぜ起こり、なぜ続くのか」を、事業環境、歴史、経験から明らかにし、より善く再現するための研究・実践体系です。
リクエスト株式会社は、980社・33.8万人の働く人のデータを基盤に、企業で働く成人の研究と教育開発を行っています。






リクエスト株式会社について

リクエスト株式会社は、組織行動科学(R)を基盤に、企業で働く人の行動、判断、経験形成、組織学習に関する研究と実践支援を行っています。

代表取締役の甲畑智康は、2003年に東京藝術大学美術学部を卒業後、企業の人材育成・組織開発に20年以上携わってきました。芸術における創造の過程と、企業における判断形成の双方を背景に、AI時代の「判断デザイン」「判断経験設計」「判断構造設計Pro」の体系化を進めています。



会社名:リクエスト株式会社
代表者:代表取締役 甲畑 智康
所在地:〒160-0022 東京都新宿区新宿3丁目4番8号 京王フレンテ新宿3丁目4F
公式サイトhttps://requestgroup.jp
会社概要https://requestgroup.jp/corporateprofile
お問い合わせhttps://requestgroup.jp/request


アクセスランキング