住友不動産(新宿区)が9月5日、「(仮称)外神田一丁目計画」 建物本体工事を始めると発表した。
場所は、昌平橋交差点の角地でヤマギワリビナ本館および石丸電気本店跡。同社は同地周辺の現状課題として、「年間来街者3000万人と多いが、有事には就業者を除く約4割が帰宅困難者となる見込み」「周辺は直接道路に面する店舗が多く、歩行者に対し圧迫感を与え、災害時の一時的滞留可能スペースも不足」「歩道が未整備で、道路上に人だまりができ車両と歩行者の動線が交錯し、接触事故が多発」「訪日外国人が情報を収集するための環境が未整備」を挙げている。
計画では、一団地認定制度を併用した東京都総合設計制度を活用し、敷地内に事務所などからなる地上23階・高さ125.5メートルの業務棟と、店舗などからなる地上2階・高さ22メートルの店舗棟を建設し、課題解決を図る。
店舗棟は建物の高さを低く抑え、平面形上を小さくすることで周辺への圧迫感を軽減するほか、採光に配慮した広場を整備。北側に隣接する講武稲荷神社との空間的つながりを考慮し、既存の街並みと連携するよう工事を進めるという。
このほか、建物は耐震性・耐火性機能を持たせ、業務棟には免震構造を採用。大地震時も機能維持することを目指す。業務棟エントランスホールは災害時に帰宅困難者の受け入れに対応し、防災備蓄倉庫やマンホールトイレを配備する。
併設する約500平方メートルのにぎわい広場は、災害時に一時滞留場所としての機能を持たせる。約170平方メートルのポケットパークや延焼防止に資する歩道状空地、広場状空地も整備する方針という。
ピロティや歩道状空地は、周辺商業施設との界隈(かいわい)性を持たせ歩行空間の回遊性を向上させるほか、歩行者ネットワークの形成を進め、にぎわいを創出。屋外の公開空地には「フリーWi-Fi」を設置し、平時は訪日外国人含む来街者が気軽にWi-Fiを利用できる環境を整え、災害時は有用情報の収集や通信手段確保に活用する。
全体敷地面積は3,281.2平方メートル。容積率は736.29%。設計は日建設計で、施工は前田建設工業。総事業費は275 億円。完成は2019年8月を予定する。