■思い出も味わいも全部詰まってるジャンル-アニソン
-今回、アニメソング(以下、アニソン)カバーミニアルバム「しょこたん☆かばー~アニソンに恋をして。~」を発売されましたね。しょこたんというと、「アニソン好き」というイメージがありますが、アニメソングを好きになったキッカケから現在に至るまでの流れを教えてください。
中川「アニメが昔から好きで、アニソンも昔から好きだったんですが、CDを買ったことはあまりなかったんです。唯一買ったのが『セーラームーン』のCDで、それを何回も聞いていました。MDが全盛になりだしたころは、いろんなCDをレンタルショップに借りに行くようになったんですけど、ほとんど松田聖子ちゃんばかり聴いていました。でもある日、戦隊モノのベストアルバムを発見して、なぜか『これは聴かなきゃ』と思い聴いてみたところ、ものすごくクオリティーが高く、全部の曲が捨て曲なしの厚みのある曲ばかりで感動し、『だったらアニメも聴かなきゃ』ということで、魔女っこアニメのCDを借りてみたんです。そしたら良すぎてハマってしまいました。それからは大手CDレンタルショップにあるアニソンCD全部を借りる勢いでレンタルし、iPodに入れて今に至るって感じです」
-なるほど。セーラームーンから聖子ちゃんを経て戦隊モノへ移行し最後にアニソンに行き着いたということですが、その段階を経たのは何故ですか?
中川「大きな理由はないんですけど、ちょうど、(戦隊モノの)25周年ベストのようなものが出て『これは買わなきゃいけないだろう』と思ったからです。また、小さい頃寝る前によく聞いていた『コロちゃんパック』のカセットが中学生の時に、たまたま出てきて、それを聴いていたら懐かしくて泣きそうになっちゃって…。アニソンにはそういった思い出とかアニメの味わいとか良さとかが全部詰まってて『もっと聴きたい』と思い、CD屋さんでいっぱい借りたという感じです」
-普段もアニソンを中心に聴かれているんですか?
中川 「そうですね。家に帰るとまず、5時間くらいPCの時間が始まるんですけど、インターネットをやってるその間は、ずっとアニソンをかけて歌ったりしてます」
-以前どこかで、「Wikipediaを見るのが楽しい」ということを聞きましたが、そうなんですか?
中川 「そうですね。声優さんのWiki項目を読んでいると、いろんな声優さんにつながってるので、その声優さんの交友関係や(過去に)何をやっていたかなどもよくわかるので面白いですね」
■ずっと憧れていた曲を歌うということ
-さてさて、しょこたんカバーの話になりますが、収録曲の選曲はどういったポイントで選曲されたんですか?
中川「収録できる曲数が5曲しかなかったので苦労しました。『メジャーな曲でなくてもいいから自分の大好きな曲を歌っていいよ』というお話をもらい、『ロマンティックあげるよ』が一番好きだったので、それをまず最初に選びました。それからは、選ぶのがすごく難しかったんです。自分のiPodを見ただけでも候補が1,000曲くらいあがっちゃって、『困った。どうしよう』って。ファンの人からも募集してリクエストの多かったものや、自分が20代女性なので80年代のアニメを通っている30代男性の人に聞いてもらって、自分では分からないちょっと懐かしい曲にしたかったので、『タッチ』の『青春』を入れてみました。あとは自分が影響を受けてずっと好きだった曲ばかり選んでいたら、エンディング曲ばかりになっちゃいました(笑)。でも、エンディングにはアニメの『面白かったのに(続きは)来週まで待たなきゃ』という寂しさと、ワクワクとアニメの世界観が全部詰まっていて、いい曲が多かったりするんです。だから、今回のアルバムは、そんなアニメを知らない世代の人にも『アニメを見てみたいな』とか、『原曲を聞いてみたいな』とか、『アニソンっていいね』と思ってもらえたり、ちょっと懐かしんでもらえたらいいなと思いながら作りました」
-個人的には「なんで5曲だけ?20曲くらい入っていればいいのに!」と思ったのですが、ファンの方からもそういう声は多かったんじゃないですか?
中川「はい(笑)。選曲のときにホントに決め切れなかったから、20曲とか歌えたらすごく嬉しいです。でも、今後パート2や3も是非目指したいと思いますので…(笑)。今回1万5千件以上もリクエスト頂いたんですけど、自分が知らない曲も沢山あって勉強になったし、また、皆さんからリクエストしてもらいたいですね!」
-是非、パート2、お願いします。ところで、PVのしょこたん、とても楽しそうでしたね。憧れていた曲をカバーしてみた心境はいかがですか?
中川「どの曲も大好きで、家でもカラオケでもずっと歌っていた曲だったので、それを歌うというのはすごく嬉しかったし、嬉しすぎちゃって笑顔のまま顔が戻らなくなってしまいました」
-ハハ。今回、カバーということでしたが、カバーする際、心がけたことはありますか?
中川「どの曲も聴きすぎて『ここでこうなって、こうやって歌って』って、体に染み付いちゃっているので、そのまま歌うとただのカラオケっぽくなっちゃうし、原曲はすごく味わいがあるので、その曲のファンの方にも受け入れられるようにしたくて。だから変にカバーしちゃったらそれを汚すことになっちゃうし、真似しても意味がない。だからすごく悩んだんですが、結局は自然体で歌いました。アレンジも、できるだけ原曲を忠実に再現してもらいました。懐かしさとか味わいがあるので、原曲と全く違ったアレンジとかにするのは絶対にイヤだと思ったので、なるべく、そのままに近いかたちでキラキラを足してもらったり、『ここで、この音を鳴らしてもらっていいですか?』ってお願いもいっぱいしちゃいました」
-プライベートでカラオケに行った際はやはり、アニソンを多く歌われるんですか?
中川 「そうですね。カラオケではアニソンか聖子ちゃんを歌いたいので、流行のJ-POPが多いカラオケの雰囲気になりそうな時は、家に帰っちゃたりします(笑)。あとは、アニソンだけ歌いに行ったりもしますよ」
■「空色デイズ」で初ロックに挑戦
-ありがとうございます。さて、6月に「天元突破 グレンラガン」の主題歌にもなっている「空色デイズ」が発売になるそうですが、こちらは今までとは異なったロックに挑戦されていますね。ロックを歌ってみていかがでしたか?
中川「これまで、(ロックは)全然聞いたことがなく、どういうものがロックなのかもよくわからなかったので、未知の世界でした。『グレンラガン』のテーマになる大役でもあったのですごく緊張もしました。ただ逆に、歌ったことのないジャンルだったので、真っ白な気持ちで臨めたし、お腹の底から声を出して歌うというのを初めて経験させてもらって、気持ちよかったです」
-今後、挑戦してみたい歌のジャンルはありますか?
中川「もっとロック調の曲を歌ってみたいと思いました。『空色デイズ』のカップリングの『happily ever after』は、身近な人が死んでしまい、どうしていいかわからないっていうすごく悲しい歌詞なんですけど、曲調はすごく激しいロックなんですね。その激しいロックに悲しい歌詞がのってるっていうところが凄く好きで、これくらい深く詞の世界に入れる楽曲をもっと挑戦してみたいと思います。あとは、両極端な感じで『空色デイズ』のもう一つのカップリングの『みつばちのささやき』という曲くらい、聖子ちゃんみたいなアイドルっぽいものも歌ってみたいですね。魔女っ子アニメの主題歌を歌うことも夢です」
-他に、今後してみたい活動ってありますか?
中川「コスプレばっかりの写真集も出したいし、アニソンカバーアルバムもいっぱい出したい。あとは、中野ブロードウェイにお店を出してみたいし、同人誌もいっぱい書きたい。キリがないです(笑)」
-すごいですね。コスプレの話が出ましたが、しょこたんは日ごろのファッションを決めるにあたって、参考にしているアニメのキャラクターとかっているんですか?
中川「昔から髪の長いキャラクターが大好きで、髪型はよく影響されてましたね。中学の時なんかは、『I’ s』の伊織ちゃん真似したり、タイムレンジャーのピンクを真似したりと、いつもキャラクターに影響を受けています。大きくなってからは、梅図かずおさんの『わたしは慎吾』の真鈴に憧れて髪を伸ばしてます。最近では『涼宮ハルヒの憂鬱』のみくるちゃんにも憧れてます(笑)」
-メイクはいかがですか?
中川「楳図かずおさんが描く美少女を目指して、マスカラをたっぷり塗ったりしてますね」
■次のオフはアキバで1日過ごしたい
-そうなんですね。ところで、話はちょっと変わりますが、しょこたんは秋葉原に来たりすることは、ありますか?
中川「今、なかなかお休みがなく、仕事でちょろっと行けるくらいで、残念なんですが丸一日とかは行けてません。中野ブロードウェイが近所なので中野に行くことは多いですね」
-中野ブロードウェイに行かれた際はどこらへんを見てまわってるんですか?
中川「まず、3階に直行し、4階行ってコスプレ屋さん見て、2階行ってDVD買って、1階でマッサージして帰るって感じです」
-なるほど。では、秋葉原に興味はあったりしますか?
中川「はい。あります。次のオフはアキバで1日過ごそうと決めてるんですけど、なかなか実現できてません。でも、行きたいですね!出来れば今度の『空色デイズ』のリリース記念イベントを秋葉原でやってみたいです!」
-具体的にどこらへんに行きたいかは決まってますか?
中川「先日、仕事で『武器屋』に行って、檜の棒を発見して、『なんであの時、檜の棒を買わないで帰っちゃったんだろう』とすごい後悔してます。あとは、『@ほ~むカフェ』のメードさんにお仕事でお世話になったので、今度は普通にお客さんとして訪れてみたいです。あとは、アニメのDVDも探しに行きたいし、『Jupiter』でセーラームーンのカツラを売っているのを見たので、買いに行きたいですね」
-濃いですね(笑)。アニメをはじめ、コスプレやPC、フィギュアなど色んなカルチャーが秋葉原には存在していますが、コスプレとはまた別に興味があるジャンルはあったりしますか?
中川「同人誌だけでお店が何店もあるじゃないですか。『とらのあな』なんかだったら、『犬耳スクール女子限定』みたいな、すごい細かいジャンルがあって、こんなに棚が占領されちゃってみたいな(笑)。どこまでもディープだから未知のところがありすぎて、勉強したいなと思ってます」
-コスプレの話に戻りますが、しょこたんのブログを見てると色んなコスプレをされてますね。どういったポイントでコスプレするキャラを選んでるんですか?
中川「好きなキャラクターばっかりですね。ヤフオクで購入したりお店で購入したりです」
-今後してみたいコスプレはありますか?
中川「そうですね。今ハマってる『少女革命ウテナ』をピンクのカツラかぶって、ちゃんとやりたいですね」
■夢と希望と、ドキドキが詰まった街-秋葉原
-通常、「アイドル」が「オタクです」といったりすると「何がオタクだよ」という突っ込みが入りがちですが、しょこたんに対しては皆、尊敬の念で見ていますよね。
中川「とんでもないです。オタクと言っても、(私が)好きなのは同じものばかりのため、新しいものに疎かったり、広くアニメを知っているわけでもないので、本当にオタクの方から見たら、全然浅いんですよ。『オタク』って言われることに恐縮しちゃいます。でも、やっぱり学生の時なんかは、アニメが好きなことや絵を描くことが好きと言うのはちょっと隠した方がいいのかもと思っていた時期もありました。でも、ブログとかで皆との交流がネットでできるようになってからは、そういう趣味があっても同じ趣味の人にたくさん出会えたので、すごく良かったなと思っています。好きなものは好きって言うと、同じ趣味の人に出会えるから、すごくいいです」
-結構オタクって、世間から一部疎外されたりもしますが、秋葉原ってそういう人たちが集まって「仲間がいるから頑張れる」みたいなそういう街でもあるので、そういう風に言っていただけるのは嬉しいですね。しょこたんにとって、秋葉原ってどんな街ですか?
中川「色んな夢と希望と、ドキドキが詰まった最高に楽しめる場所ですよね。1日あっても足りないくらい楽しいモノであふれているので、夢の街だと思います」
-秋葉原発世界へという方針で、最近は「オタク」の文化とかカルチャーを海外に売り出そうして、そこに経済が絡んでくる動きがありますが、しょこたんから見てどう思いますか?
中川「お金のことを考えずに、純粋に好きなものを作ろうと集中して出来たものの方が、いいものができる気がするので、お金のことを考えてという風に全部がなっちゃうと、本当にハマれるものがなくなっちゃいそうな気もします。でも、それでアキバ文化が(世界に)広がっていくことは良い事だと思うので、お金が後からついてくるのが理想ですね」
-しょこたんは、海外へ挑戦…みたいなお話とかってないんですか?
中川「いやぁ、今はないですね(笑)。でも、香港に住むことが夢なんですが、香港にもちょっとアキバみたいなビルがあって、そこで勝手に作られた日本人のブロマイドに『しょこたん』ってラインアップされて、販売されるのは夢です(笑)」
-ありがとうございました。
【あとがき】
オタクと公言しながら、周りの人たちにアニメやアニソン、コスプレ等の面白さを発信し続ける中川さん。そんな中川さんの活躍に元気付けられるオタクの人も多いと思われる。アニソンカバーだけにとどまらず走り続ける中川さんの今後に注目せずにはいられない。