■DMC、ダレットワールドを侵食-コラボ企画がずらり
念のため、「デトロイト・メタル・シティ」について説明しておくと、同作品は2005年に「ヤングアニマル」(白泉社)で連載を開始し単行本400万部を売り上げる漫画。東宝が10社以上の映画・映像関係各社とのコンペティションを経て、映画化権、アニメ化権を獲得し、8月8日にアニメDVD-BOXが発売開始されたほか、8月23日からは松山ケンイチさん主演で映画も公開される。 内容は、ポップ歌手を目指してレコード会社「デスレコーズ」と契約したが実際には、悪魔系デスメタルバンド「デトロイト・メタル・シティ(DMC)」のギター・ボーカル「ヨハネ・クラウザーII世」に仕立て上げられてしまう主人公・根岸崇一の苦悩する姿を中心に展開するというもの。
現在、ダレットワールドでは同作品とのさまざまなコラボレート企画を展開中で、中でも主人公で悪魔的ヒーローであるクラウザーさんもダレットワールドに降臨しているらしいという話を聞いたため、取り急ぎデスレコーズ事務所に向かった。
「あの町」に、窓ガラスに「デスレコーズ」の文字が入った雑居ビルを見つけた。ビルの前には、ミニスカート×編みタイツ×金髪の女性アバターがいる。社長だ…。
会話をしてみると、「ダムイット!」「シーット!」とスラングを使いまくる。キャラクター設定に忠実だ(笑)。
そんな社長から誘われたのは「デスレコーズ非公式オーディション」。同オーディションはダレットワールド風にアレンジされた3人1組で挑戦することができるタイピングゲームで、公序良俗に反する言葉(=デスワード)を叫び続け、どれだけポイントを獲得できるかを競うというもの。早速、友人を誘い挑戦してみたのだが正直な話、結構むずかしい。単にデスワードを叫べば良いだけかと思っていたのだが、このデスワードにもセンスが必要なのか、なかなか高得点を獲得することができなかった…。次回挑戦時は、あらかじめタイピングするデスワードをリストアップしておいてそれをもとに、叫んでみようと思う。
オーディション終了後、いったん外に出て、再度デスレコーズ内部を散策した。入ってすぐ犬風アバター「いぬいるまん」に出会った。会話をしてみると「骨が好き」だという。いぬいるまんに骨をあげると何が起こるのだろう?骨はどこに行けば手にはいるのだろう?気になる。
2階にあがると、ロゴ入りの机や社長が座る椅子など漫画内に登場するデスレコーズの事務所がそこに広がっていた。事務所のすみに「DMC」信者というアバターがいる。近寄って話しかけた。この彼、クラウザーさんとジャギさまとカミュさんのコスチュームをミックスしたような洋服を着ている。話を聞くと、DMCを崇拝する彼にとって、クラウザーさんとジャギさまとカミュさんのうちの1人を選ぶことができず、DMCを全身全霊で応援するために考え付いた「デトロイト・メタル・コーディネート(DMC)」で、事務所にあるロッカーをクリックすることでコスチュームが入手可能だという。私も、覇獣の鎧を着たい…。
彼の言葉にしたがって、ロッカーをクリックしてみると、クラウザーさんの鎧を初め、額の「殺」の文字、そのほかさまざまなDMCメンバー3人のアバターアイテムが用意されていた。※同アバターアイテムを取得するには「ダレポ(dp)」が必要。
悪魔的メークをほどこしたスキンや金髪のウイッグなどもアバターアイテムにラインアップしているが、これらは通常の商品棚には並んでおらず、一覧にある任意の商品を左クリックし、くわしく見ることで…。
ユーザーが自由にメッセージを書き込み、池や川に流して他ユーザーに届けることができる「びんせん」にも、DMC特製バーション「デスドジョウ」が登場。どじょうが切り刻まれ、血みどろになっている「びんせん」、なんて猟奇的なんだ…。運よくクラウザーさんからの「デスドジョウ」を釣り上げると、特別プレゼントがもらえるという。
また、各ユーザーが1部屋所有している「マイルーム」を、家具アバターで飾りつけデスメタル的仕様にすることもできる。ペイントされた壁に、燃やされたベッド、資本主義の豚など、社長による改造シーンをほうふつさせる魅力的なものばかりだ。これらの家具は購入できるほか、「デスレコーズ非公開オーディション」のプレゼントで入手することができる。
このほか、ダレットとDMCとツタヤオンラインのトリプルコラボレーション企画として、ダレットワールド内のツタヤオンラインの店舗がDMCにジャックされているのも特徴。店内モニターにはクラウザーさんの顔面の一部が映し出され、壁には映画版DMCのポスターが。そしてスタッフは一見、普通のスタッフに見えるが実は「公然猥褻ヘア」にしてしまうほど狂信的DMC信者で、ふとした瞬間に「SATSUGAI」をくちずさんでいる。チラシ持参で彼に声をかけるとアイテムをプレゼントしてくれたりする。
現在、ダレットワールドはDMCに侵食されている。どの企画も原作の雰囲気を損なうことをなく、ダレットワールド仕様に味付けされているため、ダレットワールドユーザーだけでなく、DMCファンも楽しめるのではないかと思う。
■ダレットワールドの魅力
このように、基本的な操作やDMCコラボ企画などをさらっとレポートしてきたが、ダレットワールドにはこのほか海や迷路のようなほら穴、秋葉原中央通り風の大通りなどの街が用意されていたり、写真撮影やくつろげる場所でのチャット機能、ブログとの連動、ゲームプレーなどさまざまな機能も搭載している。 各種ステージや機能もさることながら、季節に合わせたイベントやパンダやクマ、猫など動物をモチーフにしたアバターの存在、ワンクリックで操作可能なお手軽感、そしてメタバースにありがちなPCへの負荷がほとんどかからず、オンラインゲームユーザーだけでなくライトなユーザーも遊びやすい3Dコミュニティーだと感じた。
「ロックマン」や「鬼武者」などのヒットタイトルを手がけてきたゲームクリエーター稲船敬二さんが率いる「あそび広がる3Dコミュニティー『ダレットワールド』」。同サービスがこの先、どのような変化を遂げていくのか、アキバ経済新聞では今後も注目していきたい。
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© 2008アニメ「デトロイト・メタル・シティ」製作委員会
© 若杉公徳=白泉社=ヤングアニマル