【結論】本調査のポイント
【結論】台風が来ると蕁麻疹が出るのは、気圧の急激な低下によってヒスタミンの分泌が促進され、皮膚の血管透過性が亢進するためです。気圧変化でかゆみが悪化するのは医学的に説明可能な現象であり、気象病として肌荒れが起こることも十分にあり得ます。自律神経の乱れが皮膚のバリア機能を低下させることが主な原因です。
・67.3%が天候悪化時に蕁麻疹・かゆみなどの皮膚症状悪化を経験
・気圧低下時に症状が出やすい人の82.4%が自律神経の乱れも自覚
・気象と肌の関係を知っている人はわずか23.7%にとどまる
用語解説
■ 気象病とは
気象病とは、気圧・気温・湿度などの気象条件の変化によって引き起こされる、または悪化する身体症状の総称である。頭痛、めまい、関節痛のほか、皮膚症状として蕁麻疹やかゆみの悪化も含まれる。内耳の気圧センサーが自律神経に影響を与えることが発症メカニズムの一つとされている。
■ 蕁麻疹(じんましん)とは
蕁麻疹とは、皮膚の一部が突然赤く盛り上がり(膨疹)、強いかゆみを伴う疾患である。通常24時間以内に跡形なく消失するが、繰り返し出現することが特徴である。マスト細胞からヒスタミンが放出されることで発症し、気圧変化や温度変化が誘因となることがある。
■ 自律神経とは
自律神経とは、心拍、血圧、体温調節、消化など、意識せずに身体機能を制御する神経系である。交感神経と副交感神経から構成され、気圧変化によってバランスが乱れると、皮膚のバリア機能低下やかゆみの閾値低下を引き起こすことがある。
気象病による皮膚症状と一般的な皮膚疾患の比較

※一般的な目安であり、個人差があります。
医療法人社団鉄結会が運営するアイシークリニック(新宿院・渋谷院・上野院・池袋院・東京院・大宮院)は、台風・秋雨シーズンを前に、気圧変化と皮膚症状の関係についての実態調査を実施しました。本調査は、天候の変化によって蕁麻疹やかゆみが悪化する「気象病と皮膚」の関係について、一般の認知度と症状の実態を明らかにすることを目的としています。
調査背景
近年、気象病という概念が広く知られるようになり、頭痛やめまいとの関連が注目されています。しかし、気圧変化が皮膚症状にも影響を与えることについては、まだ十分に認知されていません。当院には「台風が近づくと蕁麻疹が出る」「雨の日はかゆみがひどくなる」といった相談が寄せられており、このような症状に悩む方が適切な対処法を知る機会が必要と考え、本調査を実施しました。
調査概要
調査対象:過去1年以内に蕁麻疹・かゆみ・肌荒れなどの皮膚症状を経験した全国の20〜60代の男女
調査期間:2026年8月3日〜8月12日
調査方法:インターネット調査
調査対象人数:300名
調査結果
【調査結果】67.3%が天候悪化時に皮膚症状の悪化を経験
設問:天候が悪くなる(台風接近・低気圧通過・雨天など)際に、皮膚症状(蕁麻疹・かゆみ・肌荒れなど)が悪化した経験はありますか?

約7割の回答者が天候悪化時に皮膚症状の悪化を経験しており、気象と皮膚の関係は多くの人に当てはまる可能性があります。「よくある」と回答した人が約3割に達することから、深刻な悩みを抱えている人も少なくないと考えられます。
【調査結果】かゆみの悪化が43.3%で最多、蕁麻疹も27.0%
設問:天候悪化時に経験する皮膚症状として、最も多いものはどれですか?(複数該当する場合は最も気になるもの)

かゆみの悪化が最も多く、次いで蕁麻疹が続きます。これらはいずれもヒスタミンが関与する症状であり、気圧変化によるヒスタミン分泌の増加が影響していると考えられます。乾燥や赤みなどバリア機能に関連する症状も一定数見られました。
【調査結果】気象と肌の関係を「よく知っている」のはわずか23.7%
設問:気象(気圧・気温・湿度の変化)が皮膚症状に影響を与えることを知っていましたか?

「なんとなく知っていた」を含めると約6割が認知していますが、正確に理解している人は4人に1人未満でした。35%以上が知識不足の状態であり、気象と皮膚の関係についての啓発が必要であることがわかります。
【調査結果】54.0%が市販薬で対処、皮膚科受診はわずか18.3%
設問:天候悪化時に皮膚症状が出た際、どのように対処していますか?

半数以上が市販薬での自己対処にとどまり、約2割は我慢しているという結果でした。皮膚科を受診する人は2割に満たず、繰り返す症状に対して適切な医療介入を受けていない可能性があります。
【調査結果】82.4%が頭痛・倦怠感・めまいなど自律神経症状も自覚
設問:天候悪化時の皮膚症状に加えて、以下の症状も同時に経験することはありますか?

8割以上が皮膚症状と同時に自律神経の乱れを示唆する症状を経験しています。これは気圧変化が全身の自律神経バランスに影響を与え、その一症状として皮膚トラブルが現れていることを示唆しています。
調査まとめ
本調査により、天候悪化時に蕁麻疹やかゆみなどの皮膚症状が悪化する人が67.3%に達することが明らかになりました。最も多い症状はかゆみの悪化(43.3%)で、蕁麻疹も27.0%と高い割合を示しています。一方で、気象と皮膚の関係を正確に理解している人は23.7%にとどまり、皮膚科を受診する人も18.3%と少数でした。82.4%が皮膚症状と同時に頭痛や倦怠感などを経験していることから、気圧変化による自律神経の乱れが皮膚症状にも影響していることが示唆されます。台風・秋雨シーズンに向けて、気象病と皮膚の関係についての理解を深め、適切な対処法を知ることが重要です。
医師コメント|アイシークリニック 高桑康太医師
皮膚科医として15年以上の臨床経験から申し上げると、台風や低気圧の接近時に蕁麻疹やかゆみが悪化するという訴えは決して珍しくありません。これは「気のせい」ではなく、医学的に説明可能な現象です。
気圧が低下すると、私たちの体内ではいくつかの変化が起こります。まず、内耳にある気圧センサーが変化を感知し、自律神経に信号を送ります。この際、交感神経と副交感神経のバランスが乱れ、ヒスタミンをはじめとする炎症性物質の分泌が促進されます。ヒスタミンは蕁麻疹やかゆみの直接的な原因物質であり、気圧低下時に症状が悪化するメカニズムの中心となっています。
また、気圧の低下は血管を拡張させる作用があり、皮膚の血管透過性が亢進することで、むくみや蕁麻疹が出やすくなります。さらに、自律神経の乱れは皮膚のバリア機能にも影響を与え、外部刺激に対する感受性が高まり、かゆみを感じやすくなります。
今回の調査で82.4%の方が皮膚症状と同時に頭痛や倦怠感を経験していることは、これらの症状が同じ自律神経の乱れに起因していることを裏付けています。気象病の皮膚症状は、頭痛やめまいと同様に、内耳-自律神経系を介した全身反応の一部として理解すべきです。
対策としては、まず天気予報を活用して気圧の変化を事前に把握することが有効です。症状が出やすい時期には、抗ヒスタミン薬を予防的に服用することで症状を軽減できることがあります。また、規則正しい生活、十分な睡眠、適度な運動により自律神経を整えることも重要です。
【エビデンス】日本皮膚科学会の蕁麻疹診療ガイドラインでは、蕁麻疹の悪化因子として物理的刺激のほか、自律神経の乱れやストレスが挙げられています。気圧変化がヒスタミン遊離を促進することは複数の研究で示唆されており、気象病としての皮膚症状は科学的根拠のある現象といえます。
気象病による皮膚症状の特徴
・天候悪化の24〜48時間前後に症状が出現・悪化する
・全身性のかゆみや蕁麻疹が多い
・頭痛・倦怠感・めまいを伴うことが多い
・天候回復とともに症状が軽減する傾向がある
台風・秋雨シーズンのセルフケア
・天気予報アプリで気圧変化を事前に確認する
・症状が出やすい日は抗ヒスタミン薬を早めに服用
・十分な睡眠と規則正しい生活で自律神経を整える
・保湿ケアでバリア機能を維持する
・症状が繰り返す場合は皮膚科を受診する
高桑 康太(たかくわ こうた)医師
皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
・ミラドライ認定医
臨床実績(2024年時点、累計)
・皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上
・腋臭症治療:2,000件以上
・酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
略歴
・2009年 東京大学医学部医学科 卒業
・2009年 東京逓信病院 初期研修
・2012年 東京警察病院 皮膚科
・2012年 東京大学医学部附属病院 皮膚科
・2019年 アイシークリニック 治療責任者
監修領域:皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
よくある質問(Q&A)
Q1. 台風が来ると蕁麻疹が出るのはなぜですか?
A. 気圧の急激な低下によってヒスタミンの分泌が促進され、皮膚の血管透過性が亢進するためです。
台風による気圧低下は内耳で感知され、自律神経に影響を与えます。これにより、蕁麻疹の原因物質であるヒスタミンがマスト細胞から放出されやすくなります。今回の調査でも、27.0%の方が天候悪化時に蕁麻疹の出現・悪化を経験しており、82.4%が頭痛などの自律神経症状も同時に経験していました。
Q2. 気圧の変化でかゆみが悪化することはありますか?
A. はい、気圧変化はかゆみを悪化させる医学的に説明可能な要因の一つです。
今回の調査では、天候悪化時に皮膚症状が悪化する方のうち、43.3%が「かゆみの悪化」を最も多い症状として挙げています。気圧低下による自律神経の乱れは、皮膚のバリア機能を低下させ、かゆみの閾値を下げることが知られています。また、ヒスタミン分泌の増加も直接的にかゆみを引き起こします。
Q3. 気象病で肌荒れはしますか?
A. 気象病として肌荒れが起こることは十分にあり得ます。
自律神経の乱れは皮膚のターンオーバーや皮脂分泌にも影響を与えるため、肌荒れの原因となり得ます。調査では15.7%の方が天候悪化時に「肌の乾燥・ごわつき」を経験しており、気象変化が肌のコンディションに影響することが示されています。
Q4. 気象病による皮膚症状には市販薬で対処できますか?
A. 軽度の症状であれば市販の抗ヒスタミン薬で対処可能ですが、繰り返す場合は皮膚科受診をお勧めします。
調査では54.0%が市販薬で対処していますが、皮膚科を受診する人は18.3%にとどまっています。市販の抗ヒスタミン薬は症状緩和に有効ですが、症状が繰り返し出現する場合や、日常生活に支障をきたす場合は、医療機関での診察と適切な治療を受けることが重要です。
Q5. 台風シーズンに向けて事前にできる対策はありますか?
A. 天気予報での気圧確認、自律神経を整える生活習慣、予防的な抗ヒスタミン薬の服用が有効です。
気圧の急激な変化を事前に把握するため、気圧予報機能のあるアプリの活用をお勧めします。また、十分な睡眠、適度な運動、規則正しい生活で自律神経を整えることが予防につながります。症状が出やすいとわかっている日には、抗ヒスタミン薬を早めに服用することで症状を軽減できる場合があります。
放置のリスク
・繰り返す蕁麻疹やかゆみを放置すると、慢性化して治りにくくなる可能性がある
・掻き壊しによる二次感染や色素沈着のリスクがある
・気象病の皮膚症状が別の皮膚疾患を見逃すきっかけになることがある
こんな方はご相談ください|受診の目安
・蕁麻疹が24時間以上消えない場合
・かゆみで睡眠や日常生活に支障が出る場合
・市販薬を使用しても症状が改善しない場合
・発熱や呼吸困難などを伴う場合は直ちに受診
クリニック案内
アイシークリニックの特徴
・新宿・渋谷・上野・池袋・東京・大宮の6院で、いずれも駅から徒歩圏内
・当日予約・当日受診が可能(一部治療を除く)
・皮膚科・形成外科の医師が複数在籍し、症状に応じた適切な診療が可能
・蕁麻疹やかゆみの原因精査から治療まで一貫して対応
※新宿院皮膚科一般外来のみでの対応となります。
アイシークリニック新宿院:東京都渋谷区代々木2-5-3 One-葵ビル2階
アイシークリニック渋谷院:東京都渋谷区渋谷3-16-2 ニュー三水ビル5階
アイシークリニック上野院:東京都台東区東上野3-16-5 サンク・ユービル1F
アイシークリニック池袋院:東京都豊島区南池袋2-15-3 前田ビル9階
アイシークリニック東京院:東京都中央区日本橋3-6-2 日本橋フロント3階
アイシークリニック大宮院:埼玉県さいたま市大宮区大門町1-60 福美メディカル2階B区画
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